パラサイトのアカデミー受賞を実現させた韓国映画界の陰の実力者

この記事の著者

韓国出身のKPOP・韓国芸能専門フリーライター。慶応義塾大学卒業。

日本にて韓国ドラマや映画の翻訳及び輸入事業をサポート。広告代理店勤務を経て、2012年から韓国Mnetにて、M COUNTDONWやMAMAなどのPRやマーケティングに関わる。

現在は同社退職後、フリーライターとして、幅広い形で日韓文化交流にかかわっている。

ボン・ジュノ監督の映画『パラサイト 半地下の家族』が、あのアカデミー賞で作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞の4部門受賞。

アジア系の映画としては初めての作品賞ということもあって、世界中から注目が集まっています。

日本からの祝福の声が上がっている中、インターネット上で密かに話題になっているのが、作品賞の受賞後、英語でスピーチをしていた小柄なおばさま。

 

映画制作会社の代表に続いてかなり長くスピーチをしていたおばさまは誰なのか?

実はパラサイトのアカデミー賞受賞の陰の立役者と言われている韓国映画界の大物!

KBANではあのおばさまの正体についてお話したいと思います。

 

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『パラサイト』アカデミー賞受賞でスピーチしていたおばさんの正体

映画『パラサイト 半地下の家族』のアカデミー賞作品賞受賞の時に

「ボン・ジュノ監督の全てがが好きです」

と流暢な英語でスピーチしていたおばさまは、

韓国財閥系のエンターテインメント企業CJ ENMの副会長を務めるイ・ミギョンさんです。

CJ ENMはK-Popファンにお馴染みの音楽チャンネルMnetを運営しているのはもちろん、韓国でもっとも大きい映画の投資・配給会社。

 

要するに『パラサイト 半地下の家族』に制作費用を投資し、韓国はもちろん全世界への配給も担当している会社なんです。

その企業の先頭に立つのがイ・ミギョン副会長。

韓国ではエンターテインメント業界の超大物として知られています。

 

米国ドリームワークスの初期投資メンバー

CJ ENMのイ・ミギョン副会長は、数十年前から映画ビジネスに興味を持ってきたと知られています。

例えば『ボス・ベイビー』『ヒックとドラゴン』で知られる米国の有名アニメーション企業のドリームワークス。

ドリームワークスは約30年前にディズニーから独立して作られて企業ですが、その時に投資金を出してドリームワークスの独立をバックアップしたのもイ・ミギョン副会長。

まだまだ韓国映画や音楽が成長していなかった時代から、海外進出への可能性を見据えて、海外への投資を続けてきたんです。

 

ボン・ジュノ監督の作品への長年のバックアップ

イ・ミギョン副会長のいるCJ ENMは、ボン・ジュノ監督の作品に投資し続けてきました。

例えば『殺人の追憶』、『マザー』、『スノーピアサー』、『パラサイト 半地下の家族』・・・

これらの全ての作品の投資・配給を担当したのがCJ ENM。

ボン・ジュノ監督が授賞式で「イ・ミギョン副会長に感謝します」と言ったのも、ある意味、当たり前かな~という感じです。

 

アカデミー賞受賞の陰の立役者としてのイ・ミギョン副会長

ご存じの方も多いと思いますが、アカデミー賞は全世界の会員の投票により受賞が決まります。

それでアカデミー賞の受賞のためには、その8000人の会員たちに目に止まるように、

’アカデミーレース’

と言われるプロモーション活動が必須だと言われています。

 

お金・人脈・マーケティングとPRノウハウが総動員されるというアカデミーレースは、予算2000万ドル(約23憶円)がかかるという想像を超える規模のもの。

イ・ミギョン副会長はご自身がアカデミー会員ということもあり、このアカデミーレースの時に資金の面でも人脈の面でも大きな役割をしたんです。

 

政府ブラックリストに載っていたイ・ミギョンとボン・ジュノ

ボン・ジュノ監督の作品もそうですが、韓国映画の多くは、社会や政治を批判したり、風刺するコンテンツがとても多いです。

イ・ミギョンさんが率いるCJ ENMもそういった作品にたくさん投資をしてきました。

そのため韓国の朴槿恵前大統領の時代には、イ・ミギョン副会長もとボン・ジュノ監督も、政府による’文化ブラックリスト’に載っていたと知られています。

この件についてCJ ENMで働いていた社員さんに聞くことが出来ました。

「イ・ミギョン副会長は朴槿恵前大統領のお父さんである朴正煕元大統領の政権を批判した映画に投資したことで、ブラックリストに載ってしまったと知られています。」

「今だから言えることですが、イ・ミギョン副会長は、当時、大統領府関係者から’ただちに経営から離れなさい’とまで言われていたんです。それでも映画への投資を続けてきたことは本当に信念があってのことだと思います。」

その後、朴槿恵前大統領が罷免されたことで、弾圧はなくなったのですが、もし弾圧が続いてたとしたら今回のアカデミー賞受賞はなかったかもしれないですね。

 

イ・ミギョン副会長がアカデミー賞の場でスピーチしたのは邪道?

とは言ってもイ・ミギョン副会長が作品賞受賞の時にスピーチしたのは邪道なんじゃないの?と思う方もいらっしゃると思います。

ただアカデミー賞の作品賞は、制作会社/制作者に送る賞。

映画界においては監督は映画のコンテンツ自体を作る人であり、制作会社/制作者は映画を作るための製作費のやりくりなどすべての裏方の仕事をする所です。

ですので、映画に莫大なお金を投資したイ・ミギョン副会長がスピーチしたことは、邪道な行動ではないと思います。

 

まとめ

ここまで映画『パラサイト 半地下の家族』のアカデミー賞受賞の陰の立役者であるイ・ミギョン副会長についてお話しました。

今回の受賞で、韓国映画界だけではなく、世界からも注目されているイ・ミギョン副会長。

今後はまたどんな活動を見せてくれるのか目が離せません。

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