出生の秘密、突然の余命宣告、記憶喪失…などのドロドロシチュエーションは、韓国ドラマの魅力ポイントの中の一つですよね。
韓国には
・ドロドロさでは他に勝てる脚本家がいない
・ツッコミポイント多すぎてどれから突っ込めばいいのかわからない
というドロドロ系ドラマの大家と言われている方がいます。
それは1998年からドラマ執筆を始め、2015年まで10作品を全てヒットさせた脚本家、イム・ソンハン大先生です。
イム・ソンハン大先生は、‘何を想像してもそれ以上を見せてくれる’と定評があり、たくさん非難されもしますが、その分、愛されたドラマを多く手掛けています。
今回はそんな韓国の伝説的な脚本家、イム・ソンハン大先生の全作品を紹介いたします。
イム・ソンハン大先生の初心者が見るならこれがおすすめ!というランキングで紹介しますので、興味のある方はぜひ見てみてください♪
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目次
イム・ソンハン大先生が手がかけたオススメドラマを紹介
第10位:花の仙女様
原題(韓国語): 왕꽃 선녀님
放送時期:2004年6月~2005年2月(全174話)
主演:イ・ダヘ、キム・ソンミン、パク・タムヒ、キム・ヘソン
イム・ソンハン大先生の作品ですが、100%イム・ソンハン大先生の作品とは言えない…悲運の作品と言えるドラマです。
出生の秘密を持った女の子チョウォンと、巫堂(ムダン、韓国のシャーマン)として生きている実母を中心に展開していく物語ですが、養子への批判的なセリフなどで多くの非難をあびました。
がしかし、非難があればあるほどドラマの人気は高くなり、30%に近い視聴率を記録しています。
100%イム・ソンハン大先生の作品とは言えないというのは、途中で、‘ある人物が死んだ三日後に生き返る’という台本を書いたイム・ソンハン大先生に対して、テレビ局側はストップをかけ、それに反発した先生がドラマ執筆をやめてしまったんです。
結局、ドラマを中断するわけにはいかないテレビ局側は、新しい作家さんに交代、急いでドラマを終わらせています。
紆余曲折あった作品ではありますが、新人だったイ・ダヘはこのドラマをきっかけに演技力のある女優として名前を知らせるようになりました。
第9位:ずっと会いたい
原題(韓国語):보고 또 보고
放送時期:1998年3月~1999年4月(全273話)
主演:キム・ジス、チョン・ボソク、ホ・ジュンホ、ユン・ヘヨン
イム・ソンハン大先生の連続ドラマデビュー作である『ずっと会いたい』。
お姉さんと妹の姉妹2人と、お兄ちゃんと弟の兄弟2人がいる二つの家族の姿を描いた家族物語ですが、お姉さんと弟が結婚し、また妹とお兄ちゃんが結婚するという先生らしい設定で注目を集めたドラマです。
最高視聴率は57.3%を記録。
NHKの朝ドラみたいに月曜日から金曜日まで毎日放送されるドラマとして1年以上続き、国民ドラマと呼ばれていました。
しかし、親が姉妹を明らかに差別する発言をしたり(お姉さんだけど溺愛)、女性は‘かわいくて子供が産めれば良い’的な世界観で、1998年当時にも視聴者から非難の声が上がった作品でもあります。
若い頃のパク・ヨンハが、姉妹の弟で、正義感の強い先生役として出演していますが、それも一つの見どころだと言えます。
第8位:芙蓉閣の女たち–新妓生伝-
原題(韓国語): 신기생뎐
放送時期:2011年1月~2011年7月(全52話)
主演:イム・スヒャン、ソン・フン、ハン・ヘリン、キム・ボヨン、キム・ヘソン
『芙蓉閣の女たち–新妓生伝-』は、出生の秘密、婚外子、継母の子供への虐待…など、韓国ドラマにありがちな要素が全て詰め込まれた作品。
でもそういった要素だけではイム・ソンハン大先生の作品とはいえません!
主人公が新婚旅行で女装をして出てきたり、主人公のお父さんの体に誰かすら分からないおばあちゃん幽霊が乗り移ったり、夢の中で腹筋を使って洗濯をしたり、登場人物が目からレーザービームを出したり…
‘韓国ドラマ史上、最高に可笑しい作品’という評価は決していいすぎではないでしょう。
そしていつものことですが、視聴率は高い!
最初は10%もなかった視聴率は、話が半分以上を過ぎた視点からは20%台の視聴率を達成し、大きな人気を得ました。
主人公のイム・スヒャンも、このドラマをきっかけに顔が知られて、今でも女優として活躍しています。
このドラマで、女性の主人公が、自分が好きな男の人に髪留めを買ってほしいと頼むシーンがあります。
「この髪留めに、男の自己中心的な部分を記憶しようと思います。
どんな場合でも男のような情けない奴らに惚れたり恋に落ちたりしてはいけないから。
だから買ってって言ったんです。お金がないわけじゃないわ」
恋に落ちるのか落ちないのかどっちだよ!と突っ込まずにはいられなかったとか。
第7位:神様、お願い
原題(韓国語): 하늘이시여
放送時期:2005年9月~2006年7月(全85話)
主演:ユン・ジョンヒ、イ・テゴン、ハン・ヘスク、イム・チェム
過去に愛した男の間で生まれた娘を捨てて、新しい男と結婚した女性が、その新しい男との間で生まれた息子と過去に産んだ娘を結婚させるという…
もう一度いいます。
・ある女性が過去に愛した男の間で生まれた娘を捨て
↓
・女性は新しい男と結婚
↓
・新しい男の間に生まれた息子と、過去に捨てた娘を結婚させる
という設定からフルスロットル、でもやっぱり人気は高かったドラマ『神様、お願い』です。
視聴者から‘見ていて不快になるけど、でも見ちゃう’という声が多く、どんなありえない設定でも見ずにはいられなくなるというイム・ソンハン大先生の能力が存分に発揮されました。
ドラマが進んでいくうちに、自分の息子と娘を結婚させるありえない選択をしてしまった母親の’母性が理解できる’という反応まで出てきましたからね。
このドラマでは登場人物が「笑いすぎて死ぬ」という出来事が起こります。
笑っていたら心臓発作を起こして死んでしまったというエピソードは、今でも韓国で語り継がれる伝説的な演出とされています。
第6位:オンダル王子たち
原題(韓国語): 온달왕자들
放送時期:2000年10月~2001年4月(全130話)
主演:ビョン・ヒボン、パク・クニョン、ホ・ジュンホ、チョ・ミンギ、イ・チュヒョン
浮気癖のある父親のもとで成長した腹違いの4人兄弟が、父親の他界後、兄弟同士で頼り、分かりあいながら生きる姿を描いた『オンダル王子たち』。
ストーリーだけを見ると、暖かいヒューマンドラマを連想させますが、実際には、亡くなった父親に息子より若い恋人がいたり、平気に不倫して婚外子を作ったりと、イム・ソンハン大先生らしいギョッとするような設定が多々あります。
演出を担当していたスタッフが途中で「こんなおかしい作品は作れない」と嘆いたというのも、有名な話ですね。
それでも視聴率だけは高く、30%以上の視聴率を記録しています。
第5位:アヒョン洞の奥様
原題(韓国語): 아현동 마님
放送時期:2007年7月~2008年5月(全204話)
主演:ワン・ヒジ、キム・ミンソン、キム・ビョンギ
イム・ソンハン大先生が脚本を、旦那さんであるソン・ムングォンさんが演出を担当した、イム先生の6作目ドラマです。
仕事が出来て、実力を認められているけれど、恋愛下手な女性検事が、12歳年下の後輩検事と結婚することで始まる物語ですが、イム先生も旦那さんとは12歳の年の差カップル(旦那さんの方が若い)なので、自分自身の経験を描いたとも言われています。
結婚した二人とその家族たちの物語が中心なので、イム・ソンハン大先生の他の作品に比べれば突っ込みところが少ない方ですが、急に登場人物が死んでしまったり、同じテレビ局のバラエティー番組を非難したり、よく分からない設定で非難されたドラマです。
最高視聴率は20%台と、そこそこの人気を得たのですが、イム先生の健康上の問題で、一か月ほど放映期間を短くしています(とは言っても10カ月も放送してますけどね)。
このドラマには
「最近のバラエティー番組はあまりにもおかしくない。ヘリコプターしか乗ってないのにお互い怖い怖いって騒いだりとか」
というセリフがあるんですが、自分の個人的な意見だろ!と多くの非難が集まりました。
ちょうどヘリコプターに乗る場面を放送した同じテレビ局のバラエティー番組があり、それをピンポイントで非難するなんてイム・ソンハン大先生だから出来ることでしょうね。
第4位:オーロラ姫
原題(韓国語): 오로라 공주
放送時期:2013年5月~2013年12月(全150話)
主演:チョン・ソミン、オ・チャンソク、ソ・ハジュン、チョン・ジュヨン
イム・ソンハン大先生の作品の中で、‘一番、登場人物が死んでしまう作品’で、韓国ドラマのバトルロワイヤル’として有名な『オーロラ姫』。
お金持ちの家の一人娘としてたっぷり愛され育ったけれど、ある日突然、どん底に落ちてしまった女の子オ・ロラが、芸能界に入り成功を収め、また小説家の男性を恋に落ちるという‥設定だけは他のイム先生の作品に比べると平凡です。
ドラマの演出や描き方に関しては、いつものイム先生の作品のように、幽体離脱したり、注文を唱えたりするなどシャーマニズム的要素が強く、また病気になった患者が‘癌細胞だって生命体’と言って治療を拒否したり、同性愛者を非難したり、‘見てられない’という視聴者がたくさん出てきました。
それでも視聴率は20%台と上々!
また『オーロラ姫』に出演した新人俳優のチョン・ソミン、オ・チャンソクらはその演技力を認められ、新人俳優賞を受賞しています。
イム・ソンハン大先生のドロドロさマックスの作品を体験したい!という人ならぜひ見てほしいドラマです。
ある登場人物の体に癌が見つかったセリフとして
「癌細胞だって生命体です。私が殺そうとしたら癌細胞だって感じると思う。
理由があって出来たんでしょうし…原因があると思う。
この世の中、カッコいい人ばっかり生きるわけじゃないように一緒に生きようと思う。」
今でも韓国で度々‘ありえないセリフ’として上げられている「癌細胞だって生命体」。
ドラマではこのセリフを言って治療を拒否しますが…
結果はドラマで確かめてみてください。
第3位:人魚姫
原題(韓国語): 인어 아가씨
放送時期:2002年6月~2003年6月(全247話)
主演:チャン・ソヒ、キム・ソンミン、ウ・ヒジン、チョン・ボソク
『人形姫』は、イム・ソンハン大先生の最高の名作だと評価されているドラマです。
チャン・ソヒ演じる若手ドラマ作家ウン・アリヨンが、不倫の末に家族を捨てた父親に復讐していく姿が描かれています。
自分を殺しかけた男性と恋に落ちてしまったり、義理の母親を力いっぱいビンタし合ったり(儒教思想の強い韓国ではありえないこと)、とにかくありえない設定がたくさん出てきています。
主人公がドラマ作家という設定というのもあるし、チャン・ソヒというものすごく力強い演技をする女優さんがその主人公を演じていることもあって、まるでイム・ソンハン大先生が出てきて喋っているような錯覚が起きる不思議なリアル感がある作品でもあります。
イム・ソンハン大先生の作品がずっとそうであったように、何かと非難はありましたが、40%台の視聴率を記録、チャン・ソヒはこのドラマでトップ女優となりました。
全247話と毎週見ると5年はかかる、かなりの長編ですが、チャン・ソヒの復讐劇にカタルシスを感じるという視聴者も声も多かったので、復讐劇が好きな人にはお勧めできます。
作中にドラマ作家である主人公ウン・アリヨンがドラマの人気のため、スタッフに延長を求められたら怒りながら語ったセリフ。
「私はドラマ延長なんてしませんよ!!」
イム・ソンハン大先生は、大半の過去作が、 予定より何か月も延長しているので乾いた笑いが韓国で起きました。
またドラマを見る主婦層を意識し、ドラマの中でよく家事のヒントみたいなことをセリフとして書いていますが
「イチゴは歯ブラシでしっかり洗うべきよ」
というセリフにはみんな唖然としました。
第2位:白夜姫
原題(韓国語): 압구정 백야
放送時期:2014年10月~2015年5月(全149話)
主演:パク・ハナ、カン・ウンタク、キム・ミンス、ベク・オムダム
最初から「ドラマは10作だけ書く」と公言していたイム大先生の、ちょうど10作目となる『白夜姫』。
実際にその後、今まで、イム・ソンハン大先生はドラマを手掛けていません。
『白夜姫』はテレビ局のバラエティー制作部門を舞台にしていて、結構明るい作品になるんじゃないかという期待もあったのですが、いざ放送が始まると、この期待は完全に裏切られます(笑)
主人公の女の子ペギャは、親がいなく、兄と二人で暮らしてきたためか、お兄ちゃんへの執着が異様に強く、妊娠した義理のお姉さんに嫉妬心を燃やすキャラクター。
家族に嫉妬心を抱く、ちょっとありえないこのキャラクターが視聴者に全然理解されず、最初はものすごく非難されていたのですが、そこはさすがのイム・ソンハン大先生。
ストーリーが展開していく上で、なぜ彼女がそうなってしまったか、そして家族が和解していく姿を描き視聴者の共感を強く掴みました。
結果視聴率15%ほどでそこそこの人気を得ました。
ドラマ作中の
「最近の韓国ドラマは、暴行とか拉致とか監禁とかそういうのなしには作れないわけ?」
というセリフに誰もが「イム・ソンハン大先生やっと反省したのかな?」と思いましたが、実際は同じ時間帯に放送されていた他局のドラマを非難したセリフでした。
他局の放映中のドラマの悪口をここまで堂々としゃべらせるというのは、ありえないという評価です。
第1位:宝石ビビンバ
原題(韓国語): 보석비빔밥
放送時期:2009年9月~2010年2月(全50話)
主演:ハン・ジンヒ、ハン・ヘスク、カン・セジョン、ソ・イヒョン
ツッコミどころ多すぎる脚本で有名なイム・ソンハン大先生と、ツッコミどころ多すぎる演出で有名な演出家ペク・ホミンがタックを組んだことで、またもや伝説的なドラマが誕生すると放送前から話題を集めた『宝石ビビンバ』。
4人の子供が力を合わせて父親と母親を家から追い出してしまったり、ある人物が事故に遭い急に幽体離脱したり、お坊さんになった人が異性に恋心を抱いたり…家族みんなで見る時間帯に放送するドラマにしてはありえなさすぎる設定がやっぱり多い!
それでも何だか登場人物に理解してしまっちゃう部分もあって、韓国の視聴者の中では‘さすがイム・ソンハン大先生’と納得してしまった人が多いんだとか。
最高視聴率は25%と、週末に放送されたドラマにしてはかなり高い視聴率を記録しています。
イム・ソンハン大先生の作品を見たいけれど、あまりにもありえなさすぎるのはちょっと・・・という人におすすめします。
登場人物の中で、性同一性障害(気持ちは女性で、肉体は男性)の人間がいますが
「祝福してほしい。私、男になったの。もう女性に興味があるの。」
といきなり‘治った’的なことを話すセリフがあります。
当然ですが、性同一性障害への理解が全くない演出として、ものすごく非難されました。
イム・ソンハン大先生の作品どれも間違い無しです。